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イタリアいなかまち暮らし

イタリアいなかまち暮らし

店を開くまで

店を開くまで

もともと魚介を得意とする料理人の相方は、内陸の山間の町でシーフードレストランを開くという、夢と言うか、アイディアがあった。

というのもイタリアはヨーロッパの中ではよく魚を食べるほうの国だが、やはり山のほうになると昔はまったく魚を食べなかった。伝統食を守る国なので、交通が発達した今でも山では魚はあまり食べられていない。したがって魚介専門レストランも今まではなかった。

しかし昨今魚食の健康さがテレビでも盛んにいわれている。また昔に比べて近海の魚が徐々に減っているため徐々に値上がりして「シーフード=高級」感が定着してきていることで、山でも需要が高まってきている。
なのに魚の調理法が伝承されてこなかった山のほうの人々は料理法をよく知らないので、おいしく調理された魚を食べようと思うと外食するというのが定番だ。(ちなみにイタリアで魚介類を食べるということは「魚介を食べるぞー」と身構える感じで魚介づくしで食事を終える。日本を含むアジア料理のように肉と野菜と魚を同時に食べたり、混ぜて料理するということがイタリアではない。こういう習慣も、交通が発達していなかったときに山の食習慣と海の食習慣がはっきり分かれていたときのなごりか?)

で、このカンポバッソという町を調べたところ、本格的な魚介レストランは老舗の1軒でしかも割高である。町の人々は魚を食べたいときは海辺の町のレストランまでドライブがてら食べに行くという習慣だった。

そこでこの町に魚介レストランを開いたら成功するだろうという計算なのだ。それも老舗に対抗してカジュアルで庶民的で、気軽に来れる店にしたい。もちろん海辺のレストランに負けないくらい新鮮な食材で。

というわけでこの店を開いてみたのだ。しかしここにこぎつけるまではいくつものなさけない挫折があった。

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